第8回 猪木正道研究会の報告

投稿日時: 2021/05/03 editor5

第8回 猪木正道研究会の報告

 

第8回猪木正道研究会は、 平成 30 2 24 日(土)午後 5 30 分から 8 時の間、報告者に 戸部良一(帝京大学文学部教授・防衛大学校名誉教授)及び前川清(武蔵野学院大学名誉教授・元防衛研究所副所長)の両先生をお迎えし、 慶應義塾大学 のご協力を得て、同学 ・三田キャンパス第1校舎4階の 146- A教室において実施しました。( 三田キャンパスマップへのリンクはこちら

 

プログラム

・挨 拶    NPO 法人猪木正道賞基金理事長・日本防衛学会会長    五百旗頭眞

 

・報告   猪木正道先生ゆかりの防衛・外交等人脈 ( )    

武蔵野学院大学名誉教授 前川  清

 

報告 2   猪木正道先生の日本政治史学」  

                    帝京大学文学部史学科教授   戸部 良一

 

 第 8 回猪木正道研究会は、恒例の五百旗頭眞猪木正道賞基金理事長の挨拶のあと、前川清講師による報告1「猪木正道先生ゆかりの防衛・外交等人脈(下)」が行われました。

  前川講師の報告は、平成 27 2 月に東洋学園大で行われた第2回猪木正道研究会での「猪木正道先生ゆかりの防衛・外交人脈(上)」に続くもので、特に今回の報告では、1)外交・軍事の猪木人脈大観として、前回の報告を補完するとともに、新たに、政・官界人脈、宗教・映画・文芸界の人脈について言及されました。

また、2)血縁人脈では、さらなる考証研究の必要性について触れられ、3)学縁学会人脈では、恩師河合栄治郎氏との伝説的関係及び京大猪木ゼミ時代の学縁学会人脈に関する研究では、今後の関係各位の拡大深化を期待したいと述べられました。

4)おわりにでは、猪木正道賞の選定時にあたっては、猪木先生の学者・人間としての特色、特に旧軍関係者との知見と人脈による、 a. 政・経・軍にまたがる総合性とハーモニー感覚、 b. 実学者・真正行動リベラリストとしての二大特色を考慮すべきであると結ばれました。

 

 

報告 1 :前川 講師          報告 2 :戸部 講師

 

次に、京都大学時代の猪木正道ゼミの最後の学生であった戸部良一講師が、報告2

「猪木正道先生の日本政治史学」を行いました。

 戸部講師は、まず、1)京都時代の猪木先生の「日本政治外交史」の講義のこと、

2)猪木ゼミでは、研究テーマに「満州事変」を選んだこと、3)猪木先生が防衛

大学校長時代に社会科学専攻を新たに設置した時の防大内で様々な反応があったこと

などを話された後、4)猪木先生の日本政治史学について、次のような項目に従って

自説を展開されました。

  a. 「史眼」

・直感+実証主義  ・史料重視、しかし史料に使われない

b.  比較の文脈

  ・ドイツ史、ロシア史の造詣  ・近代化論の影響

c.  同時代史

  ・体験:昭和恐慌、満州事変  ・師河合栄治郎の存在と影響

  ・祖国愛

d.  政治的責任の追求

  ・「軍国日本」「自爆戦争」  ・鳩山一郎、近衛文麿、広田弘毅への批判

  ・人間観:自由意思⇔歴史的「必然」

e. 「言い切る」

  ・語彙、表現  

・学者としての責任:バランスとれた解釈、しかし曖昧さを嫌う

f. 「猪木史学」とは

  ・「国際社会の中の日本」「国際社会の一員」

                                  以上

 

 

 

 

  研究会終了の後、場所を 南校舎 3 階の「萬來舎」会議室に移し、報告者を囲んで、

一般参加者も加わり、楽しい懇談会が行なわれました。

 

〔※なお、第7回猪木正道研究会及び第8回猪木正道研究会の内容につきましては、

11 月に発刊します年報『平和と防衛』第 5 号に掲載します。ご期待下さい。〕