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第４回猪木正道研究会の報告
・研究会の概要
第４回猪木正道研究会は平成 28 年 3 月 28 日 ( 月 ) の午後、東京大学・本郷キャンパスにある東洋文化研究所大会議室において実施された。
研究会の冒頭、猪木正道賞基金五百旗頭眞理事長は、昨年 11 月に防衛大学校で開催された日本防衛学会（秋季）研究大会の中で「第１回猪木正道賞発表・授与式」が行なわれたが、猪木正道賞正賞はなかったものの、２つの優れた著作について最初の猪木正道賞奨励賞が授与されたこと、そして４月からは２度目の猪木正道賞の公募となるが立派な作品が輩出することを期待したいと述べられた。
つづいて、“戦闘的自由主義者”であったとされる恩師猪木正道先生の学者・教育者としての業績や人となりについて改めて回想され、わが国周辺を取り巻く安全保障環境が厳しくなる時期にあって、猪木正道先生の名を冠した賞を授与することは非常に時宜を得ており大切なことだと思っていると、猪木正道賞創設の意義について話された。
第１報告者の火箱芳文元陸上幕僚長は、「学校長、教育者として猪木正道先生が防大生教育に及ぼした影響」をテーマに、１．猪木先生の在任時代（昭和 45 年 7 月から昭和 53 年 7 月）、２．猪木学校長の防大の教育の理念の踏襲と発展、３．槇学校長の時代（昭和 27 年 8 月から昭和 40 年 7 月）、４．大森学校長の在任時代（昭和 40 年 7 月から昭和 45 年 7 月）、５．猪木改革の意義、６．新しい試み、についてそれぞれの学校長の事績について縷々説明され、「槇学校長の掲げた豊かな人間性、広い視野、科学的思考力を具える人材の育成という教育の理念を踏襲徹底するとともに、更に改革即ち人文社会科学の専門課程の新設及び理工学過程の学生に対する人文社会科学の強化の改カリキュラムの設定、海外研究制度、海外交換留学生制度などを定めて、より国際的にも広い視野と科学的思考力を具える人材の育を目指しそれを実現されたものと考える、と報告を結ばれた。
第２報告者である前国際協力機構 (JAICA) 理事長の田中明彦東京大学教授は、テーマ「猪木正道論」を、１．戦後の日本について―空想的平和主義批判、２．空想的軍国主義批判、３．『独裁の政治思想』、４．『共産主義の系譜』、５．猪木自由主義の基礎、の五つの項立てに分けて論説された後、猪木正道先生は「ドイツ観念論哲学をマスターした上で、戦争に向かう日本を見つつ、実際のデータを見て、日本は絶対勝てるわけがないというところにいって、そのとおりになったというところが、恐らくお父さんの影響や河合栄治郎先生の影響、そういうものを受けた中での、とても明るく、自信を持って明瞭に議論される猪木正道先生につながっていったのではないかと思う次第です。」と述べて報告を終わられた。
報告終了後、フロア参加者と活発な質疑応答が行なわれ、有意義且つ中味の濃い研究会が行なわれた。
〔報告の全容は、年報『平和と防衛』第３号 ( 平成 28 年 11 月 ) に掲載予定〕
・研究会の様子と第４回研究会の参加者
・研究会の様子
〔 五百旗頭眞理事長の挨拶 〕
〔 火箱芳文氏の報告 〕
〔 田中明彦氏の報告 〕
〔日本防衛学会会員〕
田中 明彦（東京大学教授） 武田 康裕（防衛大学校教授）
古垣 吏一（航空幹部学校戦略教官室長） 千川 一司（航空幹部学校戦略教官室）
平間 洋一（元防衛大学校教授） 東島 輝（防衛大学校准教授）
湯沢まゆみ（国際アジア文化学会会員） 村井 友秀（東京国際大学教授）
茅原 郁生（拓殖大学名誉教授） 村井 良太（駒澤大学教授）
井上 正也（成蹊大学准教授） 北原 巌男（日本東ティモール協会会長）
楠 綾子（国際日本文化研究センター准教授）玉澤徳一郎（元農林水産大臣・防衛庁長官）
〔一 般〕
菊池 豊治（元駐レバノン日本人学校教頭） 菊池 明子（同 夫人 ）
永澤 富子（青山学院校友会代議員） 原 剛（軍事史学会顧問）
加藤 洋一（日本再建イニシアティブ研究主幹）森田 吉彦（大阪観光大学教授）
西本 吉男（元札幌防衛施設局長） 篠崎 正郎（統合幕僚監部運用第１課）
須川 貴史（須川貴史税理士事務所所長） 白井 基浩（渋沢栄一記念財団会員）
戸部 良一（帝京大学教授） 木村 久治（アジア社会経済開発協力）
神谷 竜介（千倉書房編集部長） 山本 吉宣（新潟県立大学教授）
大庭 三枝（東京理科大学教授）
〔 NPO 法人理事〕
五百旗頭真（理事長） 秋山 昌廣（副理事長）
渡邉 昭夫（理 事） 前川 清（理 事）
火箱 芳文（理 事） 永澤 勲雄（理 事）
