第2回「猪木正道記念・安全保障研究会」の報告

投稿日時: 05/03 editor5

NPO 法人日本防衛学会猪木正道賞基金主催

第2回 猪木正道記念・安全保障研究会の報告

NPO 法人日本防衛学会猪木正道賞基金では、(第 2 回)猪木正道記念・安全保障研究会を令和 2 2 22 日(土) 14 00~17 00 の間、慶應義塾大学・三田キャンパスの南館 2B-23 教室において実施しました。前回と同様に第 2 回研究会も II 部構成で、第 部では、第 4 回猪木正道賞の受賞者である梅本哲也静岡県立大学名誉教授による『米中戦略関係』の概要と、図書刊行後の米中間の情勢について報告がありました。

II 部の「安全保障研究会」では、前回の研究会に続いて 現場からの報告 (その2)として、冷戦後の日本の外交・安全保障をリードされた柳井俊二元外務次官・駐米大使が、「安保法制の制定過程と課題」について報告を行いました。ご案内のとおり、柳井大使は安部総理の諮問委員会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」( 2007 年、第 1 次報告書提出、 2014 年第 2 次報告書提出、 2015 年、法案成立)の座長を務められており、安保法制成立の経緯並びに評価と課題について報告されました。

報告のあと、コメンテーターである渡邉昭夫東大名誉教授から、 1994 年の細川総理(当時)の諮問委員会、防衛問題懇談会「日本の安全保障と防衛力のありかた ―21 世紀に向けての展望」、通称「樋口レポート」と「柳井懇談会」設置の時代背景と諮問内容を比較しながら、立体的に分かりやすい興味あるコメントがなされました。

第2回猪木正道記念・安全保障研究会のプログラムと大要は、以下のとおりです。

   

 

第I部 日本防衛学会猪木正道賞(正賞)受賞記念報告

第4回日本防衛学会猪木正道賞受賞者の梅本哲也静岡県立大学名誉教授が、 『米中戦略関係』 執筆の趣旨と内容の主要ポイントについて説明し、次いで 21 世紀の最大な課題である米中の戦略関係が、今後どのような展開をしていくか話されました。

1.『米中戦略関係』について

米中間における力の分布が変化する中で、両国関係が平和的に推移するか否か ―  言い換えれば、米中が「ツキジデスの罠」を回避することができるかどうか ―  は、米国の主導する国際秩序に対して中国が「現状維持」「現状打破」いずれの態度を取るかによって大きく左右される。米国の大戦略は東半球の勢力均衡、経済秩序の開放性、国際制度への依拠を基本的な要素としてきたが、近年の中国は「現状維持」を掲げつつも、海洋進出の促進や大経済圏の構築 ―  それらは「周辺」の管理強化、範囲拡大を含意するものである ―  を通じて「現状打破」を図ろうとしていると受け取られつつある。そうした大戦略上の相剋は核不拡散・非核化や海洋権益の配分といった国際社会の主要関心事項をめぐっても表出しており、それだけに両国間における武力衝突の勃発、およびその核戦争への発展をどう抑えるかについての検討が緊要の度を増している、と主張されました。

2.同書刊行(平成 30 4 月)後の情勢(「冷戦後」後)について

米国はグローバル化を主導(自国の利益・価値を増進)してきたが、グローバル化に疑念(格差・移民、中国の台頭)を持ち、国家主権宣揚・覇権争奪意識を掲げるようになる。一方、中国は国力伸張の延長線上で、自国のモデルを世界に広げ、グローバル・ガバナンスの在り方を変えようとする意思表示により、「二つ世界」の再現をもたらすことになるのではないかと危惧されました。

報告のあと質疑応答に移り、米中の今後予想される趨勢の中で、日本の立ち位置はどうあるべきか等をめぐり参加者間で活発な議論が行われました。

 

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